2022年度総会・研究発表会のお知らせ

 

日時:2022年7月2日(土) 14:00~
会場:オンライン開催

   Zoomミーティングにて行います。

 

参加希望の方は,ご入会いただくか,お試し参加の連絡を幹事長まで入れていただくと参加することができます。

 

 

 

受付 : 13時50分からお入りいただけます
待機室はありません.入室時にマイクがミュートになっておりますので,
ご発言の際はミュートを解除してください.
なお,記録のため録音をさせていただいております.ご承知おきください.

 

講演会   :14:00~15:00
総会       :15:00~15:30
研究発表会 : 15:30~16:30

 

誠に申し訳ありませんが,今年度は懇親会を予定しておりません.

研究発表の申し込みは,5月10日までとなっておりましたが,
今年度は,5月20日までとさせていただきます。
簡単な実践報告などでも構いません。ぜひよろしくお願いします。
まずは,演題とご所属を添えて,横山までメールで申し込んでください。
その後,要旨を6月10日までにお願いします。

PDFファイルは↓をクリックしてご覧ください。

 

2022年度総会および研究発表会開催のお知らせ

2022年度 研究発表要旨

(1) デバスズメダイの群れ行動を探る

   苗川 博史(神奈川大学理学部)

 

 デバスズメダイ(Chromis viridis )は,奄美大島以南の太平洋西部・インド洋に分布する海水魚である.自然下においては,サンゴの周囲に大群で生活し,危険が迫るとサンゴの枝間に隠れる行動をとる.石垣島におけるデバスズメダイの行動調査記録と,水槽内で飼育した際に,群れ行動の解析を行った観察記録について報告する.

 石垣島の白保,御前崎,川平湾において,デバスズメダイはサンゴを隠れ家に絶えず離れずに群れで遊泳しており,ヒトや天敵のエソやハタが接近すると,サンゴ内にすばやく隠れる行動をとった.水槽内では,群れの大きさ・形の変化と群れの平均遊泳速度および群れ内の個体間距離・分布角度を解析した.群れの形の変化は,H(t)=RY / (RX+RY)×100%で表した.H(t)=群れの形の変化割合,RY=測定時間ごとの進行方向に沿った群れの長さ,RX=直交する方向での平均の長さを示す.また,群れの平均遊泳速度(Vx,Vy)は,水槽内の任意に設定した重心の位置をGx,Gy, Vx(t)={Gx(t+Δt)-Gx(t)} / Δt,Vy(t)={Gy(t+Δt)-Gy(t)} / Δtを示す.Δtは測定時間の間隔,Nは観察時の個体がメッシュに分布した数として,それぞれ算出した観察事例を報告する.

 

 

 

 

(2) イネを用いた遺伝教材の開発

   渡辺 克己(元北里大学)

 

 35年程前,神奈川県教育センターにいた時,愛知県教育センターから,草丈が高いものと低いものが3:1に分離するイネの種子をもらった.この系統を維持することはできたが,矮性株の短日性が非常に強いため応用ができなかった.

 インターネットで「乙女稲」という10cm程の超矮性イネが販売されているのを見つけた(今は無い).これを購入し,「乙女稲(緑葉・矮性)」と「ぬばえ(紫葉・高性)」を交配し,草丈と葉の色二つの遺伝形質に着目した遺伝教材の開発を試みた.草丈は明瞭に分離したが,葉の色に関しては判別が難しかった.

 そこで,「F2の矮性株」と「種子島の赤米の芽出しが白くなる突然変異株」を交配し,F2で草丈が「高いものと低いもの」,葉の色が「緑のものと白いもの」に分離する系統を開発した.

 この結果,P,F1,F2を同時に観察することができ教科書に出ている図を本物で確認することができると期待される.

 

 

 

 

(3) 高等学校生物教育における遺伝領域の教育に関するアンケート調査報告

  -神奈川県内の高等学校への調査から見えてきたこと-

  鈴木恵子 (法政国際高等学校)

 

 新教育課程の「生物基礎」においては,「遺伝情報の発現(セントラルドグマ)」が扱われるようになり,画期的な近代化が図られたが,「遺伝法則」のうち「分離の法則」が中学校理科に移行し,多数が学ぶ「生物基礎」で遺伝継承のしくみの基礎を学ぶことができない状況が生じている.一方,「生物」では分子遺伝学的内容が充実し,さらに遺伝法則を十分教えない状況下で連鎖や組換えなども扱う内容になっており,教育現場では困難が予想される.

 このような背景の中,筆者は「高等学校の遺伝領域の教育に関する問題に教育現場はどう対応しているのか知るために,勤務校のある神奈川県内の国公立および私立の高等学校に,郵送・返信方式でアンケート調査を実施した.今回はアンケート調査の結果を報告し,今年度の第二回研究会では,アンケート調査結果を踏まえて,遺伝領域の教育について議論をしたいと考えている.

 

 

 

 

 

(4) 高等学校生物基礎におけるデータとICTを活用した授業の工夫

  -バイオームの授業を知識の羅列にしないために-

  加藤 小冬・○横山 一郎(関東学院大学理工学部)

 

 高等学校生物基礎では,「生物の多様性と生態系」単元の中で,「植生の分布とバイオーム」を取り扱う.ここでの学習内容は,知識の羅列になりがちだという指摘があった.そこで,web 上で参照できる各地の気象データ(気象庁のHP を参照)から年平均気温と年降水量をダウンロードして,成立するバイオームとの関係を理解できるようにした.成立するバイオームは,Google Earth を利用して確認した.また,ICT の活用として,Microsoft Forms を用いて,バイオームは年平均気温と年降水量によって規定されることを理解できているかを授業の前後で確認するようにした.このことにより,知識の羅列にならない授業展開を行うことができると考えた.

 なお,本手法は,関東学院大学理工学部教職課程の理科教育法2の模擬授業として考案されたものである.この工夫が有効であるかの評価は,高等学校での実践を待つ必要がある.

 

 【発表の中で紹介された参考サイト】

 

浜島書店「世界のバイオームを見てみよう-生物図表オンライン」

気象庁HP、各種データ・資料、世界の天候図表

気象庁HP、各種データ・資料、主な地点の平年値

気象庁HP、各種データ・資料、世界の気候データツール

かながわ気候変動WEB

 

 

 

PDFファイルは↓をクリックしてご覧ください。

2022年度研究発表要旨